本年度は研究期間の2年目である。 初年度において施行したASL法ファントム実験の結果について、英文誌「Magnetic Resonance in Medical Sciences」に投稿中である。 また、臨床応用として、ASL法による灌流画像を脳腫瘍患者に施行した。実用的な評価法として、腫瘍の最大信号値を正常大脳皮質の平均信号で除算した相対的灌流値を考案した。これを用いて評価したところ、小脳血管芽腫の相対的灌流値は、その他の脳腫瘍と比較して有意に高値を示し、脳腫瘍の組織型の鑑別に関する有用性を示すことができた。この結果を、平成18年9月14-16日に開催された第34回日本磁気共鳴医学会大会(つくば市)にて、「アーテリアル・スピン・ラベリングを用いた灌流画像での小脳血管芽腫の特徴的所見」としてポスター発表した。 次に、脳腫瘍の病理組織学的所見との対比として、各症例の病理組織標本にて病理標本においてCD34で標識された血管内皮細胞をもとに血管腔を同定、その面積を視野面積で除算した相対的血管腔値を算出し、前述の相対的灌流値と比較したところ、強い直線的相関を示した。すなわち、ASL法による灌流画像は脳腫瘍における血管増生の程度を評価するのに有用と考えられた。この結果を、平成19年4月13-15日に開催される第66回日本医学放射線学会総会にて口演発表予定である。
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