初年度の研究実績:X線照射されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)からNOの産生増加を認め、これにX線照射により誘導されたiNosが関与が示唆された。 放射線照射によりHUVECより産生されたNOのHepG2細胞のDNA合成能への影響:放射線照射されたHUVECとL-Arg3mM存在下に72時間共培養されたHepG2細胞では、放射線非照射のHUVECと共培養されたHepG2細胞と比較してBrdUの取り込み能が有意に低下し、この反応はL-NAMEにて有意な抑制が認められた。以上より、放射線照射によりHUVECに誘導されたiNOSにより産生されたNOはHepG2細胞のDNA合成能を少なくとも活性化せず、むしろ抑制する可能性が示唆された 放射線照射によりHUVECより産生されたNOのHeG2細胞のアポトーシスへの影響:上記同様、放射線照射されたHUVECとHepG2細胞を72次間共培養し、そのあとHepG2のアポトーシスをsingle cell gel-electrophoresisを用いて検討した。放射線非照射のHUVECと共培養されたHepG2細胞に対して、放射線照射されたHUVECとL-Arg3mM存在下に共培養されたHepG2はアポトーシスを生じる細胞の有意な増かが認められた。この反応はL-NAMEで有意に抑制されました。このことより、放射線照射されたHUVECに誘導されたiNOSにより産生されるNOによりHepG2のアポトーシスが誘導されることが示唆された。 まとめ:放射線照射により血管内皮細胞に誘導されたiNosにより生じたNOは周囲の腫瘍細胞にアポトーシスを生じさせる可能性が示唆された。このことは、腫瘍内の血管内皮細胞は放射線照射の治療のターゲットとなりうる可能性が示唆され、ひいては、悪性腫瘍の治療への新しいアプローチとなりうる可能性をも示唆された。
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