平成18年度は我々の施設のMRI装置が更新となったため(シーメンス社、Avant 1.5テスラ)、再度高分解能MRIにおける最適な撮像条件の設定が必要となった。同社の3inchの小径表面コイルを使用して、模擬乳腺ファントムを用いて様々な条件で撮像を行い、最適な撮像条件を決定した。以前の装置(GEメディカル社Horizon 1.5テスラ)の撮像条件の応用が可能であった。検討の結果から臨床で用いる乳腺MRIの撮像法であるスピンエコー法のT1強調画像(repetition time : TR/echo time : TE=500ms/9.3ms)、STIR(short TI inversion recovery)法(TR/TE=6300ms/9.3ms)、また造影剤投与後のダイナミックスタディーに用いる3次元VIBE(volumetric interpolated breath-hold examination)法(TR/TE=5ms/1.7ms)などの撮像条件を決定した。従来の乳腺コイル使用時の関心領域は16cmほどであるが、3inch小径表面コイルを用い7cm程の関心領域で512×256matrixの条件で撮像すると、1voxelあたり0.137mmと高分解能で撮像が可能で、スライス厚は1〜2mm程、また1シーケンス3〜5分ほどの臨床上問題のない時間で撮像できることを確認した。また模擬病変の信号、内部の微細構造、辺縁の性状に関して、従来の乳腺コイルを用いたMRIと小径コイルを用いた高分解能MRIを対比して、後者において空間分解能向上が確認された。まだ新しいMRI装置を用いて臨床例を撮像できていないが、今後臨床例の撮像を重ねて、乳腺腫瘤の信号強度、内部の微細構造、辺縁の性状、造影剤投与後の造影パターン・進展範囲の評価を、また乳管に関して乳管拡張、乳管内容液の性状、乳管壁の増強効果などの評価を行っていく予定である。特に乳癌やその他の乳腺腫瘍の高分解能MRI所見と術後病理所見と対比を行なっていきたい。
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