研究概要 |
原発性肺悪性腫瘍は増加の一途をたどり,また,肺は悪性腫瘍の転移の好発部位でもあることから,種々の治療法が試みられているが,必ずしも満足する成績は得られていない.特に低肺機能や間質性肺炎合併の患者に関しては,手術療法や放射線療法の適応外とされることも多く,より低侵襲で合併症の少ない治療法の確立が求められている.近年,肺悪性腫瘍に対する低侵襲な治療法として,経皮的ラジオ波凝固療法の応用が注目されているが,胸膜炎を始めとする胸膜の合併症が報告され問題となっている.今後,肺腫瘍に対するラジオ波凝固療法を確立していく上で,胸膜への影響を検討することが不可欠と考え,本研究を企画した. 今回,家兎を用いた実験によりCTガイド下に経皮的ラジオ波凝固療法を施行した.使用したラジオ波発生装置はRF2000(RTC社製)、使用した電極針はLeVeen(Boston Scientific)電極針17G(シャフト長15cm,展開径2cm,電極針8本)で,全身麻酔,局所麻酔を施行後CTガイド下に胸膜直下の肺へ穿刺・焼灼部位の熱凝固を示すroll-offの状態まで通電を行った.焼灼後の肺組織には,CT上すりガラス影を認めた.治療直後,翌日,3日後,1週間後のCT撮像と体温測定を行い,胸水貯留,発熱の有無等にて胸膜炎の合併を評価した.その後,肺を摘出し,肉眼的・組織学的所見を得た.今後,出力と組織温度変化の関係,および焼灼後の肺・胸膜の組織学的所見について,検討する予定である.
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