研究概要 |
平成17年度の研究において,grade3の放射線性皮膚炎に対して,低反応レベルレーザーが有効であったことが確認できたため,平成18年度は,レーザーが放射線性皮膚炎の発症に予防的に働くかを検討することした. 方法:研究対象は根治的放射線治療を行った早期声門癌症例20症例である.照射中に低反応レベルレーザーを行う群(レーザー群)と,行わない群(対照群)をそれぞれ10症例に分けて,レーザーの臨床的効果を評価した.評価方法は放射線治療中,毎週照射野の皮膚を写真撮影したものを,二人の放射線腫瘍医の主観的評価によって判定した.また,客観的評価として,皮膚弾性を皮膚粘弾性測定器(cutometer MPA580.インテグラル社)によって放射線治療開始直前と直後に,R2(測定終了時の戻り率),R7(解放後0.1病後の戻り率)を測定した. 結果:副作用による放射線治療の中断はみられず,予定していた放射線治療は全例に完遂できた.放射線腫瘍医による放射線皮膚炎の主観的評価はCTC-ver.3によって行った.Grade3以上の皮膚炎は両軍で一例もみられず,皮膚炎の程度は両軍に明らかな差がみられなかった.また,客観的評価に関しても,照射前後のR2,R7値につき,それぞれ検定を行ったが,両軍に差はみられなかった. 研究実績の報告と今後の研究の方向性について:頭頚部領域の症例を対象に,レーザーを行っており,特に化学放射線療法によって,重篤な皮膚炎を生じた症例に対して積極的に行っている.口腔癌の放射線治療症例にも皮膚炎が増悪した時点でレーザーの適応としており,治療に関連した急性の副作用が少なかったことを日本放射線腫瘍学会に論文報発表した.平成19年度に照射野皮膚の紅斑やメラニン値の変動などを含めて,論文報告する予定である.
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