研究課題
本研究では、(1)大量肝切除後あるいは過小グラフト肝移植後は、肝再生が急激に起こり、本来の生命維持に必要な肝代謝が抑制され胆汁欝滞・肝機能障害をもたらす、(2)肝代謝を促進することにより胆汁欝滞を軽減し肝機能障害を抑制することができる、という仮説をたて、研究を開始した。ラット(WSラットRT1k)7週齢、体重280〜320gを実験に用いた。麻酔はペントバルビタールを使用した。まずラット70%肝切除モデルの検討を行った。開腹ののち、Higgins変法を用いて70%肝切除を行った。術前、及び術後6、12、18、24時間後に安楽死させ下大静脈より採血、残肝の摘出を行なった。血液はヘパリン及びEDTA2Naと混合し、遠沈後血漿、血清を採取し検査まで-20℃で保存し、肝組織は二分し一片をsnap frozenの後-80℃で保存、一片を10%緩衝ホルマリンで保存した。末梢血中のHGF濃度は肝切除後6時間で前値の10倍ほどに上昇し術後24時間まで維持された。肝組織中のHGFは、術後6時間以降で前値の倍ほどに上昇した。また、この肝組織中のHGFは肝切除前に比べ高率に活性化されており、大量肝切除後の肝再生にはHGFの活性化が関与していることが結論された。肝組織中IL-6mRNAは術後6時間で急激の上昇し術後12時間以降は減少した。一方TNFαmRNAは時間とともに増加する傾向にあった。また、ラット大量肝切除モデルを用いてMRP-2発現をmRNA、蛋白レベルで検討し、MRP-2強制発現のため肝細胞への遺伝子導入を試みた。本研究の結果から、ラット肝臓の大量肝切除後には肝組織内のIL-6、TNFαのmRNAの発現が急増し、一方でHGFの肝組織内の増加および活性化が起こること、これにより肝再生が体系的に起こることが示された。
すべて 2006
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Transplantation Proceedings 38
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