本研究を遂行するに当たり、初めに放電駆動のジェットカテーテルの試作を行い、実際にジェットが発生するかを確認した。その結果、カテーテル長30cm以上ではジェット発生の成否が不安定であった。その原因について調べた結果、放電が電極周りの気泡により不安定になる場合があり、1回の放電で2度のパルス電圧上昇が認められる現象も確認された。ジェットの安定化および性能向上には、まず放電電極部の現象解明と、その結果に基づく装置の改良が必要なため、実験計画を変更し放電電極周りの現象解明に取り組むことにした。気泡が存在する場合、無い場合に比べジェットが早くなった場合も多いことから、電極面に接触する空気と水の比が放電に何らかの影響を及ぼすと考えた。そのため、実験用水槽に放電電極を取り付け、その水位を調整することにより、空気と水の接触面積比が放電電圧・電流ならびに放電の成功率に及ぼす影響について調べた。その結果、空気中に比べ、同軸形状の電極面の一部(外周部にある陰極)の一部が水中にある場合、放電時のプラスト音が最も大きく、また放電成功率も100%であった。陽極(同軸の芯線)が完全に水没すると、放電時のブラストは大きいが、放電成功率は50%以下で実用には向かなかった。また、放電電極に水没部が存在する場合、放電遅れ時間が延長された。これは絶縁物内にバルクを含む部分放電、2層誘電体中の放電に類似した現象と予想している。この結果を受け、現在電極の一部のみが水没する構造を持つ放電駆動ジェットカテーテルを試作し、その効果を確認中である。また同時に放電電極周りの現象や特性を明らかにすべく、水中衝撃圧の計測、電極材料による放電の変化、電極間距離による放電の変化、電極周りを閉塞した場合の放電について、現在実験的調査を進めるべく準備している。以上の予想外の現象があったため論文等としてまとめるのが遅れており、現在その最中である。
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