研究課題
17年度の研究は、ラット骨髄からFlt-3/Flk-2+IL-6を用いた培養法により、樹状細胞(DC)の大量分化誘導方法を確立できた。この方法により得られたDCに新規免疫抑制化合物NK026680を添加し、DCの細胞形態の観察、FACSによる表面分子の発現を比較検討した。NK026680の添加量依存的にDCの分化マーカーであるCD161aの発現が低下することから、DCの分化誘導培養中における当該化合物添加により、細胞増殖および骨髄細胞からDCへの分化誘導が抑制されたことが示唆された。また、FACSによる細胞表面分子の検討では、DCの抗原提示分子であるCD86,Iaの発現がNK026680添加培養で得られたDCで低下していることが確認された。さらにNK026680添加培養で得られたDCの機能的解析に関しては、混合リンパ球反応(MLR)によりNK026680の添加量依存的にリンパ球の増殖抑制が認められた。サイトカインについてはRT-PCRおよび定量PCRの検討により、NK026680添加培養で得られたDCのIL-12 mRNAの発現が減弱、IL-10 mRNAの発現が有意に増加していた。これらの結果を踏まえ、DNA chipを用いた解析も行う予定である。以上より、NK026680のラット骨髄由来DCの分化誘導、リンパ球活性化および移植後拒絶反応に対する免疫抑制効果が認められ、新しい免疫抑制剤としての可能性が示唆された。18年度は、ラット肝移植モデルや、ラットEAE(Experimental Autoimmune Encephalomyelitis)モデルを用いて、NK026680の効果をさらに検討する予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
J Gene Medicine May;7(5)
ページ: 565-575
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. Dec;289(6)
ページ: 1091-1099
J Lab Clin Med. Nov;146(5)
ページ: 271-278