研究概要 |
1.オキサリプラチン耐性に関わる基礎的検討〜KLF4との関連性について〜 【目的】Kruppel-like Factor 4(KLF4)は細胞増殖抑制に関与している。他の解析によって、オキサリプラチン(L-OHP)耐性細胞株でKLF4が高発現していたことをふまえ、KLF4とL-OHP耐性との関係について基礎的検討を行った。【対象と方法】空ベクターを導入した卵巣癌細胞株2008/EVおよびKLF4を導入した2008/KLF4を用い以下の検討を行った。1)異なる濃度のL-OHPに1時間暴露後、7日後の両者のコロニーの発育程度を比較。2)L-OHPに1時間暴露後,細胞を回収しDNAを分離、両者のDNA中のプラチナ濃度を比較。【結果】KLF4導入細胞は非導入細胞と比較しL-OHPに対する耐性が高い傾向にあった。DNA中のプラチナ濃度は両者間に差はなかった。【考察】KLF4はL-OHP耐性に関与している可能性があるがプラチナ系抗癌剤のターゲットであるDNA以外にその作用機序を持つことが示唆された。 2.肝細胞癌におけるMMP-2、TIMP-2発現と臨床病理学的及び予後検討 【目的】肝細胞癌におけるMMP-2とTIMP-2発現意義について検討する。【方法】肝切除症例についてMMP-2、TIMP-2発現を免疫組織化学的に調査し、これらの発現と臨床病理学的因子や予後との関連を調べた。【結果】MMP-2、TIMP-2発現は癌部だけでなく、非癌部にも認められ、MMP-2発現はTIMP-2発現と有意に相関していた。MMP-2発現は組織学的分化度との相関を認め、低分化型症例において発現が高度であった。MMP-2とTIMP-2の過剰発現を伴った癌細胞は有意に予後不良で、TIMP-2過剰発現は独立した予後決定因子となりえた。
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