本年度は研究期間の最終年度として、前年度の実験を引き続き行い、今までに得られた結果の現時点でのまとめを報告します。研究の進行についてはMSI陽性大腸癌の前癌病変と考えられている鋸歯状ポリープのrhMLH1-93のSNPの関与を明らかにするために、当院外科において大腸内視鏡を行った患者からポリープの採取を行い15例両者およびにメチル化の関係を検討したがあきらかな関与は証明できなかった。しかし、鋸歯状ポリープの発生頻度が低く、蓄積した症例が少ないため明確な結論は出来ず、今後さらに症例を増やし解析を行う計画である。基礎的実験の結果としてはrhMLH1-93にAアリルとGアリルをもつオリゴを作成し、遺伝子型により結合する転写因子や蛋白の違いの解析を行いメチル化に対する感受性の違いを明らかにする研究を各種施行したが、何らかの蛋白がGアリルに結合しメチル化を阻害することまで見出せたが、特定の蛋白の同定には至らなかった。rhMLH1-93の周囲のSNPとメチル化の関係やハプロタイプとメチル化の関係ではメチル化と関連性の深いハプロタイプが候補としてあげられている。以上から、MSI陽性大腸癌に対する早期診断マーカーとしての可能性は未だあり未解決の研究を継続中である。
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