研究概要 |
3種類の塩基除去修復遺伝子のうち,まずMYHの異常が胃癌培養細胞株や胃癌臨床検体で認められるか否かを検討した.3種類の胃癌培養細胞株,胃癌にて外科的切除を受けた30名の患者からの癌および正常部分の組織片さらに健常ボランティア3名のリンパ球よりTotal RNAを抽出した.30名の胃癌患者および3名の健常ボランティアからの検体採取では,患者本人およびボランティア本人が承諾の上,実施した.MYH遺伝子のmRNA配列をデータベースで検索し,PCR productが約400〜600bpになるようにprimerを設計した.RT-PCRを施行し,その後direct sequenceを行い,胃癌培養細胞株,健常ボランティアおよび30名の胃癌患者のMYH遺伝子発現とmRNAの塩基配列変異について検討した. MYHの遺伝子発現はすべての検体に認められた.また2つの胃癌臨床検体において,コドン485の3番目の塩基にアミノ酸変異を伴わない塩基置換が認められた.さらにコドン391の2番目の塩基でsingle nucleotide polymorphismを認めたが,これは以前他施設より報告されているものであり,病的意義は無いと思われた.MYH mRNAでは5'側(主にexon1と2の間)にスプライシング異常が高頻度に認められることが判明した.スプライシング異常は健常ボランティアではまったく見つからず,臨床検体では癌組織に有意に頻度が高いことが明らかとなった. 以上の結果を第64回日本癌学会およびAsian Pacific Digestive Week 2005で発表した.
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