研究課題
本研究では、バイオロボティクス先進技術を応用して心不全時の心筋の機能を補助する完全埋込型バイオロボティクス人工心筋を開発することを目的とした。平成18年度は、平成17年度に開発した人工心筋装置を、重量やサイズをほぼ同等としたままで、これまでの試作装置と同様に心室壁を囲む構造として胸腔内に完全に埋込可能な設計を具現化し、さらに人工心筋としての収縮可制御性をあわせて検討した。本年度の主たる成果は以下に示すごとくである。(1)胸腔内留置画可能な高機能収縮を実現する構造設計の具現化本装置の基本構成としたパラレルリンク機構は冗長系であり、構成する形状記憶合金線維の接線方向微小区間に対しては直線的に収縮変異を示すものの、収縮の起始点に対する装置全体機構の変位の方向は、骨格構造を内部に持たないため不定となる。心室壁面の収縮方向と開発した装置が胸腔内で充分な収縮能を発揮するためには、生体心臓の心筋走行構造と高い整合性を持つことが重要であると考え、健常成山羊の多層心筋バンド構造を模倣した3次元的な壁面収縮を可能とする設計を行い、システム重量や心室壁設置サイズをほぼ同等とした装置を試作した。(2)動物実験による適合制御可能性の検討麻酔開胸下の健常成山羊を用いた動物実験で開発した人工心筋の心血管系への血行力学的効果を調べ、新たな構造設計により、従来と同等の駆動電力に対して、拍出支援効率は高値をとることが示された。しかしながら、各種センサによるモニタリング結果からは、すでに循環系需要に充分な拍出能をもつ健常心臓に対する人工心筋のアクティブ補助では、自然心の収縮挙動が人工心筋補助と協働するかのごとく振る舞う可能性が示唆された。これらの成果は心不全や人工的循環補助下における自律神経系や血圧の応答をも含めて生体および人工心筋の収縮制御方法論を検討すべきであることを示したものと考えられた。
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