研究概要 |
骨髄幹細胞はin vitro及びin vivoで心筋細胞へ分化すると報告されている。最近、我々はex vivoでTGF-β添加培養により骨髄幹細胞からmyosin陽性心筋様細胞へ分化誘導することに成功した。本研究では骨髄幹細胞から心筋細胞へ分化する過程の分子機構の解明と分化した心筋細胞の機能の解析を目的とした。 C57/BL6マウス大腿骨から骨髄細胞を採集し、比重遠心法を用いて単核球細胞を分離した。また、c-kit陽性幹細胞はMagnetic cell sorterにより骨髓単核球細胞から分離採集した。分離した骨髄幹細胞(純度90%以上)は15%FBS添加RPMI1640培地にてfibronectin-coated culture dishで培養した。TGF-β_1(5ng/ml)を添加培養した骨髄幹細胞は培養後1-3日目からGATA-4,Nkx2.5のmRNA発現が著明に上昇し始めた。また、培養後7日目に、TGF-β_1を添加培養した骨髄幹細胞はより効率的にmyosin陽性細胞に分化誘導できたことが免疫染色で認められ、心筋細胞に特異的な構造蛋白Troponin-I, Troponin-T, connexinの発現もRT-PCR法で確認できた。培養2週間までに、TGF-β_1を添加培養した骨髄幹細胞は電気刺激下で一部の細胞に弱いCa^<2+> Transientが認められたが、自律的な収縮はなかった。 今後、骨髄幹細胞から心筋細胞へ分化する過程の分子機構はOligo GEArray【○!R】 Mouse TGFβ-BMP Signaling Pathway Microarrayを用いてより詳細に解明し、分化した心筋細胞の機能については長期培養細胞を用いて解析する予定です。
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