研究概要 |
肺気腫モデルは構築し難く、肺気腫治療の研究を進めるにあたり重要な基本的要素である。 我々は約18ヶ月にわたり、肺気腫自然発症モデルのpallid mouseの飼育繁殖を継続してきた。そして18ヶ月にわたり各段階の月齢のマウスを準備できている。コントロールのC57BL/6Jは同月齢での比較検討をするため高月齢のマウスを購入し準備している。 平成17年度はこのモデルマウスの機能的評価として、(1)マウストレッドミル装置と(2)BUXCO社よりバイオシステム マニューバ 肺機能試験システムの機器を購入し、運動能力と呼吸機能の評価か可能であるか比較検討している。 pallid mouseとcontrolであるC57BL/6Jとの比較により肺気腫治療後の機能的評価をデータ化し、今後モデルマウスとしての確立を目的としている。このモデルでの機能的評価は前例がなく、今後の研究課題にとって非常に重要であると考えている。 現在、pallid mouseとC57BL/6Jの3ヶ月齢、6ヶ月齢、12ヶ月齢、15ヶ月齢、18ヶ月齢のトレッドミルと呼吸機能検査での比較を施行している。 トレッドミルでの運動能力評価では7ヶ月齢ごろよりpallid mouseの耐運動能は低下しはじめ、12ヶ月齢頃よりその差は開き始め、14-16ヶ月齢では走行距離、ショック時間、ショック回数に優位な差を認めている。さらに、走行スピードを変更し、母数を増やし検討中である。 呼吸機能検査では安定した麻酔状態を確保することも重要で、ケタミンとキシラジンの合剤の腹腔内注射にて気管切開の処置を加えるが、安定した麻酔状態の確保と呼吸機能の大まかな傾向を把握するために、雌のマウスを使用し、十分に検討した後、現在オスのマウスで検討を開始している。pallid mouseには各々の月齢で使用数に限界があり、他施設からの購入は不可であり、慎重な実験が必要とされ、時間を要している。評価できるパラメーターとしてはFRC,VC,TLC,ERV,RV,compliance,FVC,FEV20-200msなどが計測でき、その他のパラメーターに関しても検討可能かどうか検証していく。現在、各々の月齢での母数を増やしながら比較検討中である。
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