研究概要 |
本研究は大型放射光X線回折法(SPring-8)を用いることで,生体駆出心における心筋レベルでの評価を行うことを目的としている.今年度はまず,コントロールラットとイソプロテレノール持続投与による肥大型心筋症モデルラットの計測をそれぞれについて行った.コンダクタンス・カテーテルによる従来の左室圧-容積関係を同時に行い,大型放射光X線回折法による心筋クロスブリッジ(アクチン、ミオシン分子の相互作用により形成される分子架橋),ミオシン格子間隔の評価との関係を比較検討した. 現在,その解析をすすめているところであり,生体駆出心におけるクロスブリッジ動態,ミオシンの格子間隔と左室圧-容積関係に一連の関係が見いだせるかを検討している.また,コントロールと肥大型心筋症との間で心筋クロスブリッジ動態,ミオシン格子間隔の相違の傾向についても検討している.その中で摘出心と異なる生体駆出心での計測上の問題点を見いだし,その点については適宜改良を加えていっている. 来年度はさらに肥大心計測の匹数を増やし,統計処理を行うことで,コントロールと肥大心の間でより明確な相違点を見いだすことを目標とする.また,イソプロテレノール持続投与による肥大心以外の不全心モデル(高血圧による心肥大モデル,拡張型心筋症モデル等)も作製中であり,その評価を行うことで,大型放射光X線回折法による心筋クロスブリッジ動態,ミオシン格子間隔の評価がさらに明確にできていくと期待している.
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