2005年8月、アスベスト・中皮腫における「クボタショック」と時期を同じくして、本研究のプロトコールが順天堂医院の倫理委員会で承認された。また、全国に先駆けて「アスベスト・中皮腫外来」を開設し、症例の集積も開始した。現在、検体及び患者情報管理システムを含めた他施設との共同研究システムを構築し、症例の集積を行っている。 一方、研究においては、本学の樋野教授(第2病理学講座)とIBL(免疫生物研究所)の共同開発によるヒトのERC/Mesothelin測定系(ELISA)を用いて、患者血液での測定を開始すると同時に、組織でのMesothelinのタンパク発現を免疫組織学的に検討している。上記の結果、ELISA系の確立とヒトの臨床検体(血液、組織)を用いたERC/Mesothelinの腫瘍マーカーとしての有用性に関する論文は、現在投稿中である。また、今後は、さらに多数の症例(健常人ボランティア、中皮腫及び胸膜プラーク、結核性胸膜炎、良性胸膜炎、びまん性胸膜肥厚、癌性胸膜炎など鑑別疾患)を集積し、臨床病理像との関連、他の中皮腫腫瘍マーカーとの比較、早期診断の可能性について検討を行う予定である。
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