1)グリオーマにおけるAurora-Aの発現について 昨年に引き続き、グリオーマの手術摘出標本を用いて、抗Aurora-A抗体で免疫染色を施行した所、Aurora-Aの発現の増加を認める症例があった。発現量は昨年の所見と同様、悪性グリオーマの中に強く発現する傾向があった。しかし、腫瘍細胞すべてが発現しているのではなく、一部の細胞で強い発現を認めた。発現細胞周囲の構造を形態学的に観察したが、特異な構造は認めなかった。しかし、突起を持つ腫瘍細胞で発現が亢進している傾向を認めた。また、p53を同時に染色したが、p53の発現とAurora-Aの発現には一定の相関は認められなかった。 2)ヌードラットxenograftでのAurora-Aの発現について グリオーマの細胞株U251において、siRNA oligonucleotideを用いて、Aurora-Aのノックダウンを行った細胞を、ヌードラットに移植すると、腫瘍を形成した。しかし、コントロールと比較して、腫瘍形成能に差を認めなかった。また、形成した腫瘍組織をHE染色で観察したが、明らかな差を認めなかった。培養細胞でのU251のAurora-Aのノックダウンは確認されたが、腫瘍形成した細胞でのAurora-Aの発現量は、まだ詳細に検討できておらず、形成された腫瘍細胞でのAurora-Aの発現量を今後検討する必要がある。また、その後それぞれの腫瘍で、さまざまな蛋白やmRNAなどについて、分子生物学的な検討を行う予定である。
|