研究概要 |
1 研究の目的 脳神経外科術中モニタリングの前脈絡叢動脈(AchA)血流不全に対する感度は極めて鋭敏であり、血流不全発生後5-30secで誘発筋電図に電位の低下が認められること、またMEPに変化無く手術を終了した症例で術後に運動麻痺を呈した症例は経験していないことから有用なモニタリングであると考えている(J Neurosurg98:507-514,2003)。しかし、本モニタリングで用いている脳表直接高頻度電気刺激に関する脳波の変化や脳組織変化といった、生理学的および組織学的な面からの詳細な安全性の検討はこれまでになされていない。臨床例でこれらの検討を実施することは倫理的にも不可能である。よってラットを用い様々な刺激条件にて脳表直接高頻度電気刺激を行うことで、組織変化や脳波変化および行動変化の有無を明らかにし、脳表に対する直接電気刺激に関する安全性の検討を行う。 2 研究実績の概要 ラットをプロポフォールにて静脈麻酔し、頭部を固定し運動領野上に小開頭を行った。脳表を平皿電極で高頻度直接電気刺激を行い、刺激と対側の四肢が肉眼的に動くことを確認した。同時に、刺激側で刺激部位を挟むように2箇所、対側にも2箇所、頭蓋骨にねじ電極を留置し刺激最中および刺激後の脳波の変化を記録した。様々な強度での高頻度刺激を行いながら、脳波変化の有無を確認した。刺激後に還流固定を行い脳を取り出し、刺激部位の脳組織の組織学的変化を、電子顕微鏡および免疫染色で検討し、また、様々な強度における高頻度直接脳表刺激後に1ヶ月間、ラットの行動を観察した後、同様に還流固定し、脳組織の組織学的な観察を行った。
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