本年度(〜平成18年3月31日)の研究実施 1.動脈瘤の作成 New Zealand White rabbitの総頚動脈の起始部にバルーンを留置する。次にマイクロカテーテルをバルーンの直前に留置し、Porcine elastaseを注入した。本処置後、2週、4週、8週目に血管撮影を行ったところ、動脈瘤の大きさはほぼ4週目で一定に達した。また作成された動脈瘤は3〜9mmの大きさで動脈瘤頚部が広い傾向にあった。これより、以後の研究に使用した動脈瘤モデルは本処置4週後のものを使用した。 2.動脈瘤塞栓 まず通常のプラチナコイルの芯にpolyvinyl alcohol (PVA) threadを組み込んだものを作成した(PVA core coil)。このPVA core coilをそのまま用いたものをcontrol群とし、PVA core coilにbFGFを含浸させた用いたものを実験群とした。実際の塞栓術では、通常のプラチナコイルに比較してPVA core coilはコイル自体がやや硬く、動脈瘤内にコイルが収納しにくい傾向にあったが、塞栓術の実施成功率自体は両群で差はなかった。 3.動脈瘤の観察 動脈瘤塞栓術後2、4、8週後に血管撮影をおこなったのち、動脈瘤および周辺血管を摘出した。2週後の動脈瘤ではcontrol群、実験群とも動脈瘤内は器質化していない比較的新しい血栓で充満しており、両群で差はなかった。4週後については実験群において動脈瘤内の血栓の器質化が促進されている傾向にあった。8週後についてはさらに実験群で動脈瘤頚部の内膜増殖が促進されている傾向にあったが、これが内皮細胞によって形成されているかどうかは今回のHE染色のみでは不明であった。今後、免疫組織法・電子顕微鏡などを用いて検討を行う予定である。
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