研究概要 |
現在、転移性脳腫瘍患者の手術摘出標本、髄液標本よりそれぞれの原発巣により異なる液性遺伝子、特異的癌遺伝子の検出を行っていく予定としている。遺伝子としては肺小細胞癌であればc-myc, P53、肺非小細胞癌であればK-ras, codon12, p53, Survivin, P16などがある。その他、胃癌、大腸癌、乳癌でもおこなっており、それぞれK-ras, codon12, hTER, APCmutation, erbB2 (Her2)などを検出している。方法としてはそれぞれの標本よりPCRを用いてmRNAを抽出し、これよりマーカーを用いて検出している。患者の同意を事前にインフォームドコンセプトを書式で用意し、同意を得る予定であり、倫理委員会に対しても現在、書式を制作中であり、近日中に完成予定である。最終的にこれらのマーカーを治療方法により分別して判定し、それぞれの治療効果を判定する予定である。特に治療前後のマーカーの増減は直接的な治療効果の判定につながる可能性があり、この場合、転移性脳腫瘍の今後の治療方針の大きな目安となるであろう。また、現在のところ癌性髄膜炎に関しては細胞診にて確定診断を行っているが、実際のところ、これでも陰となる症例が時折みられ、これに対しても髄液マーカーを検出することにより、より早期に異常を発見することができ、この結果、早期治療の導入が可能となり、予後改善につながる見込みである。また脳原発腫瘍に関しては、インターフェロンに対するミクログリアに反応を見ており、術前1-3日前に静脈内投与し、手術摘出標本を病理学的に検索し、免疫染色を用いてミクログリアの同定を行っている。また、摘出腔内に留置したオンマヤ貯留槽より内容液を随時採取し、同様の同定を行い、治療効果の判定を行っている。現在、これらにおいて研究続行中である。
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