研究概要 |
椎間板の変性変化には椎間板細胞のアポトーシスが関与している可能性があることが最近になり報告されたが,その詳細なメカニズムは依然不明である.本研究ではアポトーシスにおいて直接的な役割を果たす遺伝子群と,椎間板細胞を用いた遺伝子導入実験を行い,椎間板細胞のアポトーシス誘導機構の解析とこれらが椎間板変性に及ぼすメカニズムについての検討を行うことを目的としている. 平成18年度は手術を要する患者(入院患者)より匿名化された椎間板組織(約10-20g)の供与を受け(医の倫理委員会に申請、認可済み),椎間板細胞を単離・継代し,in vitroにおいてアポトーシス誘導遺伝子Caspase 3の発現を,リポフェクション法を併用したRNA干渉を用いてgene silencingする系を確立させた.Caspase 3のノックダウンをRT-PCR法により確認後は培地より血清を除去しアポトーシスの誘導を開始し,その後,定量的Tunnel法による断片化DNAの確認,Fluorescence activated cell sorter(FACS)によるアポトーシス細胞の算定を行った. この結果,RNA干渉によるアポトーシス誘導遺伝子のsilencingを行うことにより,Tunnel法にて断片化DNAが減少し,FACSにおいてもアポトーシス陽性細胞の減少が確認された.つまりin vitroのヒト細胞レベルにおいてもラットと同様にCaspase 3をgene silencingすることでアポトーシスの抑制が可能であり,椎間板細胞の変性抑制・制御が可能であることが予期された.さらに他のアポトーシス誘導遺伝子FasおよびCaspase 8を用いたRNA干渉実験でも同様の結果が示唆された.
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