研究概要 |
脊椎圧迫骨折の既往がなく,骨粗鬆症の治療歴もない,59歳,66歳,64歳,71歳の閉経後女性4人を対象とした.解析対象は骨粗鬆性脊椎骨折で最も頻度が高い第1腰椎(L1)高位とした.全症例に対して,まず二重エネルギーX線吸収法(dual energy X-ray absorptiometry, DEXA)を用いてL1の骨密度値を測定した.さらに,それぞれの症例に対してL1全体を1mm間隔でCT撮影し,撮影したCT画像データをもとにメカニカルファインダー(Mechanical Finder)を用いて,L1の有限要素モデルを作成した.各症例の有限要素モデルは,1辺を1.5mmとした正四面体のソリッド要素,すなわち脊椎内部の海綿骨部分を示す要素と,1辺が1.5mmで厚さが0.3mmのシェル要素,すなわち椎体表面にある皮質骨部分を示す要素からなるものとした.荷重条件は,椎体下縁を完全拘束し,椎体上面から垂直圧縮荷重を負荷し,荷重増分解析を行った.荷重増分解析では,荷重を徐々に増やしていき,各荷重段階での要素の破断を考慮しながら解析を進めた.この解析を,脊椎が破断して二分されるまで荷重を増分して行った.また,骨折パターンを予測するために,それぞれの要素の応力強度比を用いた(応力強度比=要素の応力/要素の強度).応力強度比が1を超えた場合,要素の破断(骨折)が起こるものと判定し,応力強度比が1を超えた要素は赤色にプロットされ,骨折線として描かれるように設定した.このようにして各症例を,現在解析中である.
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