研究概要 |
2年目である今年は、脊髄損傷ラットの行動学的・組織学的な評価系の作製を主に行った。 また、昨年報告したin vitroの結果から、使用する薬剤をアデノシンではなく、p38 mitogen activated protein kinase (MAPK) inhibitorを主として用いることとした。 方法は、New York University (NYU) Impactorを用いて10gx25mmのcontusion damageをTh11に行った後、L4/5 levelからp38 MAPK inhibitor (SB203580:0.0014mg/0.1ml)をone shotで投与したSB群と、生食を投与したsham群に分け、作成した。 行動学的評価として、処置後1、2,4,6週でのBBB scoreと立ち上がり回数を測定した。両群とも、1、2週では差は認められなかったが、4、6週目ではSB群にて有意な行動学的改善が認められた。 組織学的評価法として、(1)損傷後2週目でのラット脊髄内で産生されたchondroitin Sulfate Proteoglycans (CSPGs)をWestern blotを用いて定量化、(2)corticospinal tractをBiotinilated dextranをbrain内にinjectionすることで可視化、(3)GAP-43抗体を用いた再生神経軸索の可視化、(4)炎症反応の評価として、microglia、apoptosis、GFAP、MAP-2、TNF-alpha染色を行うことができた。 来年は、上記評価系を用いて、脊髄損傷に対するp38 MAPK inhibitorの炎症抑制、CSPG産生抑制について評価し、行動学的改善のメカニズムを明らかにしていく予定である。
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