平成17年度における当院集中治療室(ICU)への入室患者は591名であり、これらの患者の重症度(APACHE II score)およびICU滞在日数、ICU死亡率などのデータベース化に成功した。この情報を元に平成18年度、19年度はUnmeasured anionと重症度、患者予後との研究を進めていく予定である。同時に小児ICUにおける急性腎不全患者のUnmeasured anionの検討では、小児心臓外科術後の急性腎不全患者ではこれまでに報告されている成人の場合とは異なり、Unmeasured anionは上昇しておらず、低ナトリウム血症や高乳酸血症が代謝性アシドーシスの主な原因であることが明らかとなった。また、これらの患者において施行された腹膜透析のUnmeasured anionへの影響を検討したが、腹膜透析3日後でもUnmeasured anionは低下せず、腹膜透析による代謝性アシドーシスの改善は、Unmeasured anionの低下ではなく、低ナトリウム血症の改善が大きく関与していることが解明された。腹膜透析は血液濾過透析と比較して、Unmeasured anionを低下させる能力に劣る可能性が示唆された。肝移植患者での検討も現在進行中であり、肝移植術中から術後での代謝性アシドーシスの改善が高乳酸血症の改善のみでは説明できないことを見いだしている。今後さらなる検討により、肝移植術中術後のアシドーシスの改善におけるUnmeasured anionの役割が解明されるものと思われる。
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