クロニジンを経皮投与した場合の鎮痛効果とリドカインと併用した場合の鎮痛効果増強作用の2点について定量的評価を行った。 (1)クロニジンを経皮投与した場合の鎮痛効果について 対象は健常ボランティア5名。健常ボランティアの右前腕内側にクロニジン300μgゲルを塗布しプラスチックフィルムにて1時間覆い、その後除去した。塗布部位と非塗布部位(左前腕内側)にて電流知覚閾値(2000、250、5Hz)と知覚テスト(触覚、温覚、冷覚、痛覚)、サーモグラフィーによる皮膚温度を除去後5時間まで1時間おきに両部位で測定した。また、血圧、意識状態、塗布部位の状態も観察した。塗布側と非塗布側の電流知覚閾値、各種知覚の程度、サーモグラフィーによる皮膚温は測定時間中、両部位で有意な変化は認められなかった。血圧、意識状態、塗布部位の状態も異常は認められなかった。 (2)リドカインと併用した場合の鎮痛効果増強作用について 対象は健常ボランティア4名。同一被験者にて、10%リドカインゲル1g単独、10%リドカインゲル1gにクロニジン300μgを添加したものを2週間以上の間隔をあけて(1)と同様に塗布、測定を行った。10%リドカインゲル1g単独投与した場合、電流知覚閾値は2000、250、5Hzでそれぞれ除去後2、4、5時間まで有意に上昇した。各種知覚の程度もすべて低下した。10%リドカインゲル1gにクロニジン300μgを投与した場合は、リドカイン単独投与した時と比べ、神経遮断効果は強い傾向にあったが統計学的には有意差は認められなかった。
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