クロニジン添加リドカインを経皮投与した場合、リドカイン単独経皮投与に比べ鎮痛効果が増加するかを検討した。まずは、健常ボランティアの右前腕内側に10%リドカインゲルを1時間塗布し、同部での電流知覚閾値(2000Hz、250Hz、5Hz)と知覚テスト(触覚、温覚、冷覚、痛覚)、サーモグラフィーによる皮膚温度を塗布前と除去直後から5時間まで1時間おきに測定した。同様に、クロニジン300μg添加10%リドカインゲルにても同様に塗布、測定を行った。 10%リドカイン単独投与群では、電流知覚閾値は5Hz(無髄C神経)で10%リドカインゲル塗布開始より3時間まで神経遮断効果が持続した。一方、250Hzでは塗布開始より5時間まで遮断効果が持続した。2000Hz(太い有髄A神経)では塗布開始より6時間まで遮断効果が持続し、5Hz(無髄C神経)と250Hz(細い有髄A神経)よりも効果時間が長かった。知覚テストでは全感覚が測定時間内有意に低下したままであった。 クロニジン300μg添加10%リドカインゲル群では、電流知覚閾値は全ての周波数で10%リドカインゲル単独投与群に比べ、神経遮断効果が有意に延長した。知覚テストにおいても、全感覚の低下の程度が大きかった。塗布部位の皮膚温はリドカインゲル単独投与群に比べ、低い傾向にあった。 リドカインゲルにクロニジンを添加し経皮投与した場合、リドカイン単独に比べ鎮痛効果は増強した。サーモグラフィー上、皮膚温は若干低下していたことから、クロニジンによる末梢血管収縮作用により、リドカインの局所蓄積量が増加したことが鎮痛効果増強の一因と考えられた。
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