研究概要 |
本研究では二量体化オピオイド受容体の脱感作に与える影響を一量体受容体と比較検討し、各種オピオイド製剤の二量体化オピオイド受容体に対する反応性の違いを検討する。このことによって各種オピオイドの効果的な使用方法、オピオイド耐性形成における二量体受容体の役割を分子生物学的に明らかにした。 (方法)1、μオピオイド受容体、δオピオイド受容体の細胞内局在の検討 (共焦点レーザーによる受容体細胞内局在の検討) 2、各種オピオイド製剤を使用し、受容体のinternalizationを可視化 3、二量体化の証明。(共焦点レーザーを用いたFRET解析). 4、β-arrestin2、μオピオイド受容体の可視化と複合体形成の証明(FRET解析) 5、β-arrestin2なしでの受容体internalizationの評価 (結果)1、モルヒネ刺激ではμオピオイド受容体はinternalizationを引き起こさなかった。 一方、フェンタニル刺激ではinternalizationを引き起こした。 2、μ-δヘテロ二量体化受容体では、モルヒネもフェンタニルと同様、受容体のinternalizationを引き起こした。 3、μ-δヘテロ二量体受容体発現細胞においてモルヒネ、フェンタニルでinternalizationされた受容体は二量体であった。 4、β-arrestin2、μオピオイド受容体は複合体を形成しinternalizationを引き起こした。 5、β-arrestin2の存在なしでは受容体internalizationは引き起こされなかった。 さらにGRK2、GRK4がμオピオイド受容体の脱感作に与える影響を検討した。 (方法)クローン化μ受容体のC末端、ならびにGRK2,4のC末端にVenus,Ceruleanをそれぞれ連結したものを作製する。さらにμ受容体のN末にT7-Tag,GRK2,4のN末にFLAG-tagを導入しBHK細胞に発現させμ受容体の脱感作を検討した。 (結果)GRK2はμ受容体の脱感作を引き起こし、GRK4は起こさなかった。 現在日本において臨床で用いられているオピオイド製剤はモルヒネ、フェンタニル、オキシコドンの3剤である。今回のモルヒネ、フェンタニルでの検討に加えオキシコドンについても、オピオイド耐性と二量体化受容体との関連についてさらに検討していく予定である。
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