アフリカツメガエルから卵母細胞を採取し、α_1グリシン受容体、α_1β_<2γ2S>GABA_A受容体、NR1/NR2ANMDA受容体、GIRK1/2チャネルを発現させた。前年度までにギャバペンチン(GBP)が臨床濃度(<30μM)でNMDA受容体を濃度依存的に抑制することがわかったがGBP(30μM)の抑制作用がNMDA受容体の促進的調節因子であるグリシン(0.01-100μM)により大部分拮抗されることが明らかになった。このことはGBPがグリシン結合部位に抑制的に作用することによりNMDA受容体が抑制されることを示唆するものでGBPの新たな鎮痛機序と考えられる(Acta Anaesthesiol Scand 2007;51:122-8)。現在、Seltzerらの方法でラットの坐骨神経を部分結紮して神経因性モデルを作成し、熱刺激・機械刺激による痛覚過敏に対するGBPの作用について、琉球大学麻酔科の研究室訪問で習得したくも膜下カテーテル留置法を用いて検討中である。 また局所麻酔薬のうちアミド型のリドカインとエステル型のプロカインがアフリカツメガエル卵母細胞に発現させたグリシン受容体、GABA_A受容体に作用するかを調べた。リドカインとプロカインは共に臨床濃度(<30μM)でグリシン受容体の機能を増強し、高濃度(>3mM)では抑制させる二相性の作用を示すことがわかった。低濃度の増強作用はグリシンの受容体親和性を増加させることにより発現し、高濃度の抑制作用はグリシンに対する非競合阻害によることが分かった。臨床において低用量の全身投与で見られる鎮痛作用を指示する結果と考えられる。一方でGABA_A受容体に対しては臨床濃度では作用はみられないが高濃度(>3mM)では抑制させることがわかった(Anesth Analg掲載決定)。
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