研究概要 |
(1)根治的前立腺全摘除術の治療前患者血清を用いて,限局性前立腺癌患者における病理学的病期予測因子としての,治療前血清テストステロン値の有用性を研究し,論文発表した。1998年3月から2004年3月までに根治的前立腺全摘除術を施行し、かつ術前血清テストステロン値を測定した限局性前立腺癌82例を対象とし、病理学的病期と治療前血清テストステロン値との相関、および治療前血清テストステロン値と他の臨床的因子(年齢・治療前血清PSA値・Gleason score・予後)との相関について検討した。病期別では、pT2b以下のorgan confined cancer症例における治療前血清テストステロン値は4.33±1.42ng/mlで、pT3-4、pN1のnonorgan confined cancer症例の3.44±1.19ng/mlと比較して有意に高かった(p=0.0078)。 (2)初回前立腺生検患者データを基に,年齢・PSA値・free/total PSA比・直腸診所見・前立腺容積から生検陽性率を予測するノモグラム(CHIBA program)を開発し,報告した。単変量解析では5因子とも統計学的に有意であった。作成されたノモグラム(CHIBA program)によるROC曲線下面積は,ノモグラム0.818に対して年齢0.588, total PSA 0.698, f/T PSA比0.721,前立腺容積0.662,直腸診所見0.692であった。 (3)前立腺癌スクリーニングにおける血清p53抗体値の有用性について,検討,報告した。 (4)転移性前立腺癌患者において,治療前血清テストステロン値と,アンドロゲンレセプター遺伝子上のCAGリピート数とが,予後予測因子として有用であることを報告した。
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