研究概要 |
(1)MDCK腎上皮細胞とv-src導入細胞でそれぞれcDNAライブラリーを作製しており、作製完了後にディファレンシャルハイブリダイゼーション法を用い、発減量に差のある遺伝子を同定する実験を行う。 (2)今までに腎癌組織で発現の変化が報告されている以下の遺伝子を中心にトランスフォームの前後での発現の変化をRT-PCR法、ウエスタンブロット法を用い確認を行う。この細胞系で今までに検討されているのは、細胞浸潤に必要とされる細胞外基質の分解に関する因子のみであり、細胞接着機構に関する因子(カドヘリン、カテニン等)、血管内移動や血管内皮接着に関与する因子(シリアルLe,セレクチン,ICAM-1等)、内皮細胞の開裂やその後の基底膜接着に関する因子(VEGF、インテグリン、CD44等)、細胞移動に関する因子(FAKのリン酸化等)、転移巣での増殖に関する因子(EGF,TGFβ等)、血管新生に関する因子(VEGF、Angiogenin等)など細胞からRNAを抽出しRT-PCRを行っているところである。 (3)手術で得られた腎癌と正常腎組織を材料に用い、単離できた遺伝子の実際の組織での発現をRT-PCRにて、タンパク発現の状態や局在を免疫染色にて確認するため、臨床材料を収集している。 (4)v-src導入MDCK細胞では細胞の浸潤に重要とされるMT1-MMPの発現誘導が確認されており、MT1-MMPの発現を抑えることによる転移抑制の有無につき実験を行うため、Antisense-MT1-MMPを発現するプラスミドを構築した。今後v-src導入MDCK細胞に遺伝子導入、さらにantisense-MT1-MMPを恒常発現するクローンを確立する作業を行っていく予定である。
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