本研究はホルモン抵抗性前立腺癌に対するアンチセンスオリゴを用いた分子標的治療および抗癌化学療法併用の効果を検討したものである。特にBcl-familyの複数遺伝子を同時に標的とした新しいアンチセンスオリゴを使って、apoptosisの誘導とその抗腫瘍効果、また、そのメカニズムの解析、種々の抗癌化学療法との併用効果、更にantiapoptotic遺伝子であるclusterinを標的としたアンチセンスオリゴや他のantiapoptotic遺伝子を標的としたアンチセンスオリゴとの併用効果について検討した。アンチセンスオリゴと抗癌化学療法の併用効果については前立腺癌細胞株を用いて新規抗癌剤との併用抗腫瘍効果をmitogenic assayで測定したところいずれの抗癌剤を用いた場合でも抗腫瘍効果が増強されることが認められた。また、Bcl-2およびBcl-xLを標的としたアンチセンスオリゴを用いた抗腫瘍効果の実験を行なった場合、clusterinの発現上昇が認められた。そこで、clusterin遺伝子を標的とするsmall interference RNA(siRNA)を併用してやることで、この上昇したclusterinの発現をおさえてやることが更なる抗腫瘍効果の増強につながると考えられ、実験でも抗腫瘍効果の増強を認めた。また、細胞周期にかかわる遺伝子のひとつであるAurora-Aについても過剰発現が前立腺癌と関連するといわれているためAurora-A遺伝子を標的とするsiRNAを併用することを検討しており、in vivoでの実験について計画中である。
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