研究概要 |
In vitroでの癌株化細胞におけるREIC、アンドロゲンレセプターの遺伝子レベルおよび蛋白レベルの発現を検索し、次年度以降での研究計画で使用するアデノウィルスベクターの作製を行った。 1.PC3、LNCapおよびDU145ヒト前立腺癌株化細胞を使用し、ヒト線維芽細胞株OUMS24をポジティブコントロールとしてREIC発現の有無を定量的real time PCR法およびWestern blot法にて解析した。その結果、PC3およびLNCapにおけるREIC発現はOUMS24の約10%であり、DU145はOUMS24に比して約50%のREIC発現量であることを確認した。またアンドロゲンレセプターの発現についても定量的real time PCR法およびWestern blot法にて解析した結果、LNCapでは発現が認められたが、PC3およびDU145ではアンドロゲンレセプターの発現は完全に消失していた。 2.次にREIC発現量の少ないPC3およびLNCapを用い、REIC遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター(以後:Adeno-REIC)にて各細胞株にREIC遺伝子を強制発現させ、細胞増殖能ならびにアポトーシス誘導の有無を確認した。その結果、各細胞株においてアポトーシスを介した細胞死が確認された。アポトーシス誘導シグナル伝達系に関しては、BCLファミリーに関連したアポトーシスであることが示唆された。 3.マウス前立腺癌モデルを用いた遺伝子治療実験(in vitro, in vivo実験)を開始するにあたりAdeno-REIC、HSV-tk遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクター(Adeno-tk)を作成した。REIC遺伝子、HSV-tk遺伝子両方を組み込んだベクター(Adeno-REIC-tk)の作成は現在進行中である。
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