研究概要 |
本研究は膀胱腫瘍に対する新規腫瘍マーカーの発見を目的としている。実験は(1)候補遺伝子の抽出(2)候補遺伝子の絞込み(3)候補遺伝子の検討の作業から成り立っており、本年度はまず(1)の候補遺伝子の抽出を行うことを目標とした。候補遺伝子抽出の方法としては遺伝子を網羅的に解析することが可能であるマイクロアレイ法を使用することにした。まず陽性コントロールである膀胱腫瘍の細胞株(T24,RT-4)を培養しRNA抽出を施行した。また陰性コントロールとして使用する正常者の尿からのRNA抽出を試みた。尿中の正常細胞数は非常に限られており、また大量の溶媒に溶解しているためにRNA抽出は可能であり、RT-PCR法にてβactinが十分に検出することは可能であることから、今後の候補遺伝子の検討の作業で行う予定であるRT-PCRによる遺伝子の検討が行えることが確認できたが、マイクロアレイ解析を行うには十分な量のRNAを抽出することができなかった。検体の量を増やすなどの工夫を行ったがやはり十分量のRNA抽出はできず今後、良性泌尿器科疾患で手術を受ける患者から洗浄にて膀胱からの尿を採取しより多くの細胞数を得られるようにする予定である。洗浄により膀胱内から多くの細胞を採取することが可能になると同時に、尿ではなく洗浄液である生理食塩水を溶媒とするためにRNA抽出の効率も上がり、より純度の高いRNA抽出が行えるものと考えられる。
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