研究概要 |
前立腺癌の治療法としては,多くの施設では前立腺全摘除術が行われているが,治療後の,失禁・勃起障害は,比較的高頻度に認められ,QOLの点で問題が多い.一方,Ir-192を用いた高線量率組織内照射(HDR)はQOLを落さない根治治療として最近注目されている.今回,至適治療スケジュール確立のため,及び生体に及ぼす影響を解析する基礎研究として,抗腫瘍効果・正常組織反応を検討し,臨床応用への一助としたい.また,治療後のQOLに関しては手術症例と比較することを含めた調査表を用いてアンケート方式で行っている.QOLの評価法については日本では確立したものがなく,外国で使用されている調査表の翻訳版が用いられることが多い.我々の調査は,Short Form Health Survey (SF-36)で一般的な健康状態を測定し,University of California Los Angeles Prostate Cancer Index (UCLA-PCI)を用いて前立腺癌の疾患特異的な健康状態を測定,さらにIIEF-5(国際勃起スコア),IPSS(国際前立腺スコア)なども併せて行っている。この研究をする上で川崎医科大学では臨床的にすでに400名を越える症例に対しHDRを行ってきており,これは国内では最多症例数である.また,QOL関連の国内外の学会に参加し研究・調査を行った。 内容的には調査はアンケート方式で治療前,治療後6ヶ月,1年,2年で縦断的に行っている。
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