研究概要 |
(1)AP-2α遺伝子導入卵巣癌細胞における増殖能低下の機構に関する検討 AP-2αを強制発現させた卵巣癌細胞株において増殖能が20%の低下を示したことからAP-2αが細胞周期に何らかの影響を及ぼしていることが考えられる。この機構を検討するため、SKOV3親株とmock株、AP-2α強制発現株をそれぞれ10%FCS入りメディウムと10%FCSにタキソールを加えたメディウムにて24時問培養後flow cytometerを用いて細胞周期につき比較検討を行った。その結果、AP-2α強制発現株においてアポトーシス細胞が増加してみられ、この傾向はタキソール負荷群で顕著であった。 (2)AP-2α遺伝子導入卵巣癌細胞における抗癌剤感受性の変化に関する検討 AP-2αを強制発現させた卵巣癌細胞株においては抗癌剤に対する感受性が変化することが予想される。これを増殖能の変化としてMTS assayを行い、各種薬剤において増殖が50%抑制される濃度(IC50)を求めた。抗癌剤として卵巣癌治療に頻用されているタキソール・カルボプラチン・シスプラチンを、さらにドキソルビシン・5FUについて検討した。その結果、それぞれのIC50はmock株とAP-2α強制発現株においてタキソール:7.75→6.09nM、シスプラチン:7,52→4.72μM、パラプラチン:11.1→6.91μM、5FU:14.1→6.61nM、ドキソルビシン:70.3→34.2nMへと低下し、抗癌剤感受性が亢進することが示された。
|