子宮頚癌のうち組織型が腺癌で発現しているBCLP蛋白の機能を抑制するため、RNAiを子官頚部腺癌細胞(CAC-1細胞株)内に導入し、その細胞増殖や形態を観察した。形態的には細胞骨格が減少し、細胞自体の厚みは非薄化し、この蛋白が細胞骨格において変化をもたらすことが判明した。細胞周期を観察すると、必ずしも一定した結果ではないが、RNAiを導入した細胞ではG2-M期に集積するものが多く、細胞増殖周期のアレストをおこす原因になりうる。同様に子宮頚癌扁平上皮癌細胞株(SGK細胞株、ME細胞株)を用いて比較対照としたが、扁平上皮癌細胞ではBCLP蛋白の発現は認められず、またRNAiを導入しても細胞自体に変化は認めなかった。 子宮頚部腺癌患者さまで未治療の状態において血液を採取し、DNAを抽出の上、PCR法にて遺伝子を増幅し、BCLP遺伝子特異的Pimerを用いてその発現について検討したが、3人中1名で発現が認められた。もともと子宮頚部腺癌の母集団人数は少ないので、今後症例の追加検討が必要であると考えられた。 子宮頚部円柱上皮と類似した子宮内膜細胞における発現を免疫組織学的に検討したが、子宮内膜細胞でも発現を認めた。発現度合いは生理周期によりことなるが、増殖期で発現が認められており、子宮内膜における細胞増殖に関与していることが推察された。子宮内膜増殖症や子宮内膜癌においても発現している可能性があり、今後検討したいと考えている。
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