研究概要 |
目的:StAMP(Steroidogenic acidic mitochondrial protein)は、成体においてステロイドホルモン産生組織(副腎・精巣・卵巣)に発現しており、StAMPがステロイド産生過程に関与している可能性がある。今年度の研究ではステロイド産生機構におけるStAMPの役割の解明を目的とした。 方法:マウス副腎皮質腫瘍由来のY1細胞株を用いて、StAMPを標的としたsiRNA(100nM)を導入してOSAPの発現抑制を試み、0.5mM 8Br-cAMPにより刺激されたステロイド産生量について、RNAi活性を示さないnegative control導入群と比較検討した。ステロイド産生量は、培養液中のプロゲステロン濃度とし、RIAにより測定した。 成績:siRNAによるStAMPの発現抑制の効果は,リアルタイムRT-PCR法や抗OSAPポリクロナル抗体を用いた免疫細胞化学染色法、ウエスタンブロットにより確認し、mRNA蛋白レベル双方とも約90%の抑制効果を示した。また、StAMPを発現抑制することにより,cAMP刺激後のプロゲステロン産生量はcontrolと比較し約40%減少した。そしてそのステロイド産生量減少は、膜浸透性の高いコレステロールアナログである5μMの22Rヒドロキシコレステロールを投与することにより回復した。尚、siRNA導入後の細胞のviabilityは特に有意に低下しなかった。 結論:StAMPは、その発現抑制によりミトコンドリアの機能自体は低下することなくプロゲステロン産生を減少させることが判明し、ステロイド産生機構の主にコレステロールの外膜から内膜への輸送に関与する可能性が示唆された。
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