フッ化ピリミジン系抗癌剤である5-FUは頭頸部癌において、術前あるは術後の補助療法として、また進行癌で手術不能な症例に対しては第一選択の治療法としてシスプラチンと併用される。また、5-FUの経口剤は術後の再発防止のため長期に投与される。5-FU不活化酵素であるDihydroPyrimidine Dehydrogenase(DPD)、主要な代謝酵素であるOrotate Phosphoribosyl Transferase(OPRT)、5-FUの標的酵素であるThymidylate Synthase(TS)はいずれも5-FUの抗腫瘍効果を予測する指標として期待されており、これら酵素の発現量を考慮したオーダーメイド治療の可能性も考えられる。 平成17年度は5-FU感受性因子であるDPD、TS、OPRTの発現量をDPD、TS、OPRTのcDNA配列をデータベースから入手し、RT-PCRおよびリアルタイムPCR用のプライマー、プローブを設計し、これを用いて頭頚部癌細胞株のDPD、TS、OPRTのmRNA発現レベルを測定した。また、DPD、TS、OPRTの酵素活性をラジオアッセイ法により測定中であり、mRNAと蛋白レベルの相関を検討中である。 また、頭頸部癌症例の手術や生検により得られた検体サンプルを蓄積中であり、ラジオアッセイ法によるDPD、TS、OPRTの蛋白レベルの発現量を測定した。18年度には同一検体のDPD、TS、OPRTのmRNA発現レベルをリアルタイムPCRにより測定し、両者の相関を検討する予定である。
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