研究方法 1.検体の確保と抹消血中免疫担当細胞の測定 千葉大学耳鼻咽喉科頭頚部外科、独立行政法人放射医学総合研究所付属病院で放射線治療または、重粒子線治療を行っている頭頚部癌患者の末梢血を20ml採取し、比重遠心法により末梢血単核球分画を分離回収した。採血は、放射線照射前(治療前)と放射線10Gy照射毎に行った。分離した単核球分画の一部を蛍光抗体(抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗Va24、抗Vb11、CD1d/α-galactosylceramide tetramer他)を用いて染色し、フローサイトメトリーにより解析した。なお、TCRε^+Va24^+Vβ11^+細胞又はCD1d/α-galactosylceramide tetramer^+細胞をNKT細胞として解析した。残りの単核球分画は、放射線治療が終了後に機能解析を行うために凍結保存した。 2.CD4^+、CD8^+細胞、NKT細胞の機能解析 NKT細胞のサイトカイン産生能は、末梢血単核球分画より自己由来の樹状細胞を誘導し、a-galactosylceramideを提示させた細胞を抗原提示細胞として末梢血単核球と共に培養後ELISPOT法により解析した。NKT細胞の増殖能は、末梢血単核球をIL-2とa-galactosylceramide存在下で培養し、フローサイトメーターで解析した。In vitroで増殖したNKT細胞のサイトカイン産生能は、増殖したNKT細胞をPMAとlomomycinで刺激後、フローサイトメーターで解析した。In vitroで増殖したNKT細胞の細胞障害活性は^<51>Cr-release法で解析した。 結果と考察 放射線治療前後で、末梢血中のNKT細胞数は減少しなかったが、α-galactosylceramideに対するIFN-γ産生能は照射前よりも低下していた。しかしIn vitroでの照射後NKT細胞の増殖能は照射前と同程度であった。さらに、照射後の抹消血単核球分画から増殖したNKT細胞のIFN-γ産生能と細胞障害活性は照射前と比較して低下していなかった。以上の結果より血液中のNKT細胞を体外で増殖、活性化して再投与する免疫治療は、放射線照射後の患者においても有効性が期待されると示唆された。
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