(目的)最近、菌体成分由来のCpG DNAがTLR9のリガンドであることが判明し、アレルギーを抑制する物質として注目されている。今年度は、CpG DNAによるアレルギー発症予防・治療機序を解明するため、その標的細胞の一つとされるヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)の活性化メカニズムを検討した。 (方法)CpG DNAはg10gacgaを用いた。ヒトpDCは健康成人末梢血から、BDCA4^+細胞またはLin-/CD11c-細胞として精製した。シグナル伝達物質および転写因子の活性化はWestern Blotting法によるリン酸化の同定と核移行およびDNA結合活性を指標にした。遺伝子発現はreal-time PCR法、タンパク解析はELISA法およびWestern Blotting法を用いた。 (結果)ヒトpDCはIRF-7とCCL3が構成的に発現していた。CpG DNA刺激によりIFN-αとCXCL10の発現が誘導され、IRF-7とCCL3の発現が亢進した。これらの遺伝子の発現・亢進は、CpG DNA刺激により直接誘導された。CpG DNAによるこれらの遺伝子の誘導には、CpG DNAの細胞内取り込みとその後のエンドゾームの成熟が関与することが示された。また、CpG DNAによるIFN-α、CXCL10、CCL3の発現にp38 MAPK経路の関与が示された。NF-κB family member p65とp50は構成的に活性化されており、その活性はCpG DNA刺激により亢進した。NF-κB阻害剤を添加するとIRF-7、CCL3の構成的発現が低下し、CpG DNAによるIRF-7、IFN-α、CXCL10、CCL3の発現誘導も抑制された。これに対し、type I IFNによる誘導(IRF-7、CXCL10)は抑制されなかった。さらに、CpG DNAによるこれらの遺伝子の発現・亢進に、p38 MAPK経路とNF-κB経路の共同作用の関与が示された。一方、IRF-7の活性化にはNF-κB/p38 MAPKの活性化は必要とされず、エンドゾームおよびその近傍シグナルの関与が示された。
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