研究の目的 我々が同定したKM-HN-1は正常臓器では精巣のみで発現するが、様々な癌組織で発現する事、癌患者のin vivoにおいて特異的IgG抗体が産生されており、in vitroで特異的CTL(細胞障害性T細胞)が誘導できる事を既に報告している。そこで我々はKM-HN-1の機能解析と癌患者血清中の抗体価を測定する研究を企画した。 1.KM-HN-1の遺伝子導入癌細胞株を作製し、遺伝子導入株で表現型が変化するか(細胞増殖やストレス状況下での変化など) 2.1.で変化がみられた揚合、cDNAマイクロアレイを用いて遺伝子導入株のmRNAの変化を解析する。 3.癌患者血清中の抗体価の癌の進展度との関連、治療前後や再発後に変化するか について明らかにしたい。 本年度(〜平成19年3月31日)までの研究実施 1.KM-HN-1遺伝子の発現ベクターへの組み込みについては、KM-HN-1の全長cDNAを哺乳動物細胞発現ベクターpCAGGS-IRES-NEOに組み込むことに成功した。 2.癌細胞株への遺伝子導入については、KM-HN-1を発現していない頭頚部癌細胞株HSC-4に遺伝子導入を行い、geneticinにてselectionし、遺伝子の高発現株を5株樹立した。 3.遺伝子導入株の表現型の解析については、現在解析中であるが、HSC-4では今のところ明らかな表現型の違いは認められていないため、他の癌細胞株にて遺伝子導入株を作成中。 4.癌患者血清中の抗体価については正常人より高値を示したが、進展度や治療前後の変化については有意差を認めなかった。
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