研究概要 |
妊娠マウスをケタミン、キシラジンにて麻酔後、胎児を取りだし、イソジンにて消毒後、断頭して脳組織を取り除き、嗅裂を含むように鼻粘膜を取り出した。ペニシリン・ストレプトマイシンを含んだ生理食塩水にて組織を洗浄後、0.25%トリプシンにて組織を37℃にて15分間留置し、細胞を分離させ、ナイロンメッシュにて骨などの不要組織を除去し、回収した細胞に成長因子を加えた培養液で継代した。ディッシュに付着する細胞と浮遊する細胞を分離し、浮遊細胞を継代した。浮遊細胞は球状なneuro-sphereを形成し、12ヶ月以上継代することが出来た。マウス骨髄からも同様にsphereを形成する培養細胞が分離できたが、2ヶ月程すると、細胞はアポトーシスを起こし、消失していったのに対し、鼻粘膜由来の細胞は15ヶ月継代することができた。これらの細胞からRNAを抽出し、RT-PCRにて神経系マーカーの発現をみると、Musashi1、Nestin、などの神経幹細胞を示唆する遺伝子の発現を認めた。今後は、嗅上皮細胞に分化する可能性があるかMath1,Id1、Hes1などのベクターを細胞に導入したり、ビタミンB12や細胞分化の最終段階で必要であることが内耳有毛細胞のセルラインで解ってきているレチル酸を培養液に添加することで、OMP(olfactory major protein)などの遺伝子が発現するか検討する。またこの細胞をBrdUにて標識後、正常マウスと嗅覚障害モデルマウスの鼻粘膜に注射し、OMPの発現が生じるか検討したい。
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