1.オルソケラトロジーによる角膜知覚の変化 オーバーナイトオルソケラトロジーを開始した17例34眼に対して、治療前および治療後3ヶ月での角膜知覚をCochet-Bonnet角膜知覚計を用い角膜中央、上方、下方、耳即、鼻側の5ポイントで測定した。その結果、治療後はすべての測定ポイントにおいて角膜知覚が有意に低下することが明らかとなった。この低下量は各部位による差は認められず、近視矯正量との相関もみられなかったが、年齢との相関が認められ、即ち加齢に伴いより強く角膜知覚が障害されることが判明した。オルソケラトロジーによる角膜知覚の変化を検討した報告はこれまでになく、以上の結果はいずれも新知見となった。現在、学会発表および英文論文の作成を進めている。 2.家兎眼でのオルソケラトロジーによる角膜透過性の変化の検討 Dk値の異なる2種の治療用レンズ(100および58)を家兎用に作成した。体重2kg前後のNew Zealand white rabbitに試作レンズを装着したが、当初はフィッティングが不良であったため、レンズサイズや各カーブのパラメーターを何度も変更しながら、良好なフィッティングが得られるようレンズを調整した。この調整に相当な時間を要したため、まだ詳細な検討は未施行であるが、今後これらのレンズを家兎に装用させ前眼部フルオロフォトメトリーにより角膜透過性を定量化しバリア機能を評価する予定である(平成18年度に施行予定)。 3.家兎眼におけるオルソケラトロジー後の角膜上皮細胞間接接着構造の変化 上記に示したように適切な治療用レンズの作成が可能となったので、このレンズを様々な期間において家兎に装用後させたのち角膜組織標本を作製し、免疫染色や電子顕微鏡による詳細な検討を行い、接着構造の変化を明らかにする予定である(平成18年度に施行予定)。
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