研究概要 |
雄成熟ウイスター系白色ラットを用い、眼球後方約2mmの部位で60g脳動脈クリップを使用し15秒間視神経を挫滅するモデルを作製した。他眼にはsham operationを施行した。それらを無作為に2群に分け、薬物投与群は視神経挫滅直後より1日2回右眼に(0.25)Nipradilolを点眼投与、左眼は同様にVehicleを点眼投与した。対照群においては両眼1日2回Vehicleを点眼投与した。 眼圧測定は、視神経挫滅日を0日として、-3、4、7、14、21、28日にそれぞれ施行した。全身麻酔下における視神経挫滅モデル作製前のラット眼圧は10.4±0.5mmHgであった。視神経挫滅モデル作製後、少なくとも術後4日よりわずか1.0mmHg程度統計学的有意の眼圧上昇が認められ、少なくとも4週は維持された。また、コントロール群およびニプラジロール群との間に、統計学的有意な差を認めなかった。 眼圧上昇により誘導される網膜神経節細胞死は、モデル作製後4週に評価した。ラット視神経挫滅4週後網膜周辺部における網膜神経節細胞死は、コントロール群において29.2±14.9%であった。一方ニプラジロール群においては10.7±3.7%であった(P=0.0094,Mann-Whitney Utest)。網膜中心部においては、コントロール群で22.5±13.8%、ニプラジロール群で11.2±3.9%の網膜神経節細胞死を認めた(P=0.0161,Mann-Whitney Utest)。網膜全体では各々25.0±13.4%、11.0±3.2%であった(P=0.0094,Mann-Whitney Utest) 網膜の組織学的検討は、同様に視神経挫滅後4週で施行した。HE染色した後、網膜内網状層、内顆粒層、外網状層の厚さを計測した。コントロール群およびニプラジロール群との間に、統計学的有意な差をいずれも認めなかった。
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