CNGA3で知られている46種のミスセンス変異のうち39種について、パッチクランプ法を用いて解析し、その結果を論文としてまとめ報告した(電流が記録できたのが7種で、殆どの変異は電流が記録できなかった)。残る7種(自験例で見出していたLeu633Pro(CTG→CCG)の変異を含む)についても同様の解析を進めたところ、3種で電流が記録できた。それらのうちGlu590Lysは、上記論文で報告したGlu593Lysと同じく、cGMP感受性を上げる変異であることが判明した。Leu633Proは電流が記録できたが、その性質は野生型と差がなく、また、野生型CNGA3や野生型CNGB3とも正常に会合していることを免疫沈降法により確認した。Leu633Proは多型なのかも知れない。電流が記録できなかった計36種に関しては、(1)細胞膜には発現するがチャネル機能を発揮できない、あるいは、(2)細胞膜での発現が低下している、の2つの可能性を区別する必要が生じたので、野生型CNGA3-GFPの融合タンパク質の性質をまず検討した。GFPとの融合CNGA3チャネルは野生型CNGA3チャネルと全く同じ性質の電流を示したので、C端に融合させたGFPはチャネルの機能に影響しないことが確認できた。そこで、46種の変異CNGA3をそれぞれGFPベクターにクローニングし、細胞にトランスフェクトしてGFPの蛍光の細胞内分布を検討した。電流が記録できた変異では細胞全体が光っていたが、電流を記録できなかったものの殆どは細胞内封入体(と思われる構造物)だけが光っていた。蛍光の細胞内分布の観察により上記(1)と(2)が区別できる可能性が高まっている。今後は、培養温度を下げる、野生型CNGB3と共発現させる、などの様々な工夫により、変異CNGA3を細胞膜に発現させるべく検討してゆく予定である。
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