平成17年度に行った研究成果としては以下の2点である。 (1)実験緑内障モデルの確立 a.上強膜焼却による慢性高眼圧モデル 生後16-32週のWistar系ラットを用いて、パクレンにより強膜の上強膜静脈焼却を施行し、慢性高眼圧モデルを作成した。モデル動物は術後2日目より眼圧が上昇し、高眼圧が約3週間持続することを確認した。 b.NMDA硝子体注入モデル 成熟マウス(C57BL6/J)に網膜内層障害モデルとして1.5-3.4μmol/mlNMDA硝子体注入モデル作成を行った。約20匹の正常マウスに投与を行ったが、ERGの検討では電位変化のばらつきが大きく、内層障害の程度がモデル動物によって著しく異なっていたことから、同モデルは本研究には不適と考え、現在は作成を行っていない。 c.視神経挫滅モデル マウス視神経を血管クリップにより視神経挫滅を行い逆行性軸策輸送障害を生ずる視神経挫滅モデルによる網膜神経節細胞のアポトーシス誘導モデルを作成した。組織学的に網膜神経節細胞の減弱が確認されており、今後は多くのモデルを作成し電気生理学的な検討を行っていく予定である。 (2)小動物用ERG記録法の確立 ラット、マウスなどの小動物専用の網膜電図記録システムをほぼ確立し、現在も若干の修正を加えている。従来、小動物の網膜電図記録そのものが困難であったが、現在の我々の有するシステムであれば、4時間以内の記録なら問題なく生体下で網膜電図記録を連続記録可能である。今後もこのシステムを発展させていく予定である。
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