研究概要 |
緑内障性視神経障害の最大の危険因子である「眼圧」に対し、臨床の現場においても様々な眼圧測定装置が研究され使用されてきている。近年、眼圧値に関しても角膜厚によりその影響を受けることが報告されており角膜厚を考慮した眼圧測定法が提唱されている。本年では、臨床面ではこの眼圧測定法について研究を行い、新しく発売されたrebound tonometerの有用性について発表し報告した。また、高眼圧症と初期の開放隅角緑内障の早期発見に対し、共焦点レーザー検眼鏡のうち現在臨床応用されている、SLO,OCT,HRTの3種について視神経乳頭陥凹の程度と網膜神経線維層厚の変化を早期に検出する能力について検討し、視野変化とどのような相関関係があるのかを報告した。また緑内障に関する様々な著書(分担著書)を執筆した。基礎実験については、マウスERGについてはphotopic ERGにおける網膜内層成分の検討を行ったが、残念ながら現在までのところphotopic ERGではサルやヒトでは網膜神経節細胞(GC)関連であるPhNRもマウスでは認められず、引き続き検討を行っていく予定である。またマウスのscotopic ERGおける至適条件の設定の確認が不十分であり、未だ結果のバラツキが大きく発表できる状態にまでは進歩していない。今後、マウスERGのうち網膜内層成分とされるSTRとOPs波を抽出するのに最適な条件の設定の検討を行っていく予定である。可能であれば薬剤を用いたpharmacological dissectionを用いたERGも検討したい。また、これまでにマウスERGの一連の実験で得られた知見を報告すべく論文作成の準備中である。
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