本研究では緑内障患者におけるoptineurin遺伝子変異の解析を継続し、臨床所見とのより詳細な関連を確立することを目的とする。患者群は岡山大学附属病院の緑内障外来に通院中の開放隅角緑内障(原発開放隅角緑内障および正常眼圧緑内障)患者で、遺伝子解析に同意の得られた患者より採血を行い、optineurin遺伝子変異の有無を検索した。また、調査する臨床所見としては患者の性、診断時年齢、家族歴の有無に加えて、眼圧、視神経乳頭陥凹、視野狭窄の程度である。以上の臨床所見と、optineurin遺伝子変異の有無との間で関連をみる。近年、角膜厚と緑内障の関係では、角膜が薄ければ眼圧は見かけ上低く測定され、厚ければ見かけ上高く測定されることになり、測定値の信頼性が問題となっている。本年度は眼圧測定に関してdynamiccounter tonometerを使用し、角膜厚の影響を最小にした眼圧値を得るようにした。現在83名の患者(原発開放隅角緑内障55名、正常眼圧緑内障28)の臨床所見を追跡調査中であるが、低い眼圧値にコントロールされているにもかかわらず進行の早い患者では角膜厚の薄い傾向を認めた。今後は現在追跡中の患者の臨床経過データの収集に加え、さらに症例数を増やして、同意の得られた者からは採血を行いoptineurin遺伝子変異の有無を検索し、臨床所見との関連を解析する。遺伝子変異解析は、変異のみならずSNPに関しても検索を行い、臨床所見との関連を調査する予定である。
|