研究概要 |
研究の目的は、人工的に血管新生を形成させて網膜静脈閉塞性疾患の治療をすることである。本年度の計画は以下のとおりであった。 1.ウサギ網膜中心静脈閉塞症モデルの作成 2.ウサギVEGF, FGF発現ベクターへの導入 3.ウサギVEGF, FGF,リコンビナント蛋白の精製その活性の確認 本年度は網膜循環の定量化および手術手技の習得を中心に進めた。 1.網膜循環の解析 血管新生を形成させた場合、網膜循環の改善を数値化する必要がある。これまで、色素希釈法にて網膜循環を定量化してきたが、これまでの画像処理のプログラムはwindows NTでしか稼動しない。そこで、画像解析ソフトをwindows XPで稼動するようにプログラム変更した。また、これまでは網膜血管造影をscanning laser ophthalmoscopy(SLO)で検査していたが、現在はHeidelberg Retina Angiograph 2(HRA2)で検査することがスタンダードになったため、HRA2で得られる画像に対応できるようにもプログラム変換した。実際、造影検査で得られた動画を静止画に展開し、新しく変更したプログラムで色素希釈曲線を描くことが可能であることを確認した。 2.ウサギ硝子体手術の確立 トリアムシノロンを用いて人工的後部硝子体剥離を作成した後に、放射状視神経切開術が安全に施行可能であることを確認した。2週間後に眼球摘出しホルマリン固定後にH.E.染色したところ、切開部位に一致した瘢痕形成をきたしていたが、血管新生は形成されていなかった。つまり、血管閉塞がなくVEGF等を注入していない条件なら、同部位に血管新生は生じないことが分かった。 3.ウサギ網膜中心静脈閉塞症モデルの作成 硝子体切除後に眼内ジアテルミーで網膜静脈を凝固することで、外科的に網膜静脈閉塞症を形成できることを確認した。
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