1)ヒト角膜内皮細胞培養 輸入角膜から角膜内皮細胞をデスメ膜とともにシート状に採取して、dishにて培養することに成功した。 2)細胞増殖時期における転写抑制因子PLZFの発現をRT-PCRおよびreal-time PCRにて検討 ヒト角膜内皮細胞を培養し、細胞密度50%、70%、90%、100%のそれぞれの時期に細胞を回収し転写因子(PLZF、BTB/POZ domain zinc finger transcription factor)の発現の有無および発現量について検討した結果、PLZF遺伝子発現は細胞増殖中には全く認められず、細胞密度が100%の増殖の停止した状態で認められ、さらに時間と共に発現量は増加した。 3)PLZF遺伝子過剰発現による細胞増殖に対する影響の検討 アデノウイルスvectorにてPLZF遺伝子を過剰発現させると、ヒト培養角膜内皮細胞の増殖が有意に抑制された。 4)細胞間接着とPLZF遺伝子発現との関連性についての検討 EDTAによって、すでに形成されている細胞間接着を一時的に解除し、その後新鮮な培養液にてincubationすることにより細胞間接着を再形成させた。経時的に細胞を回収してPLZF遺伝子の発現量を検討した結果、PLZF遺伝子発現は、細胞間接着が解除されると約1/20に発現量が減少し、その後細胞間接着の再形成に伴って、その発現量が回復することが分かった。 これまでの結果より、PLZF遺伝子はヒト角膜内皮細胞の増殖抑制に関与していることが示唆された。さらに、その発現制御には細胞間接着の形成が関与していることが明らかになった。
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